社長のつぶやき

昔と今、国内縫製工場は何が変わった?

”Time flies.”
”光陰矢の如し”
時間というのは本当に早く過ぎていきますね。
はい、言い訳です。ご無沙汰しております。

さて、今回も「服作りの前提として知っておいて欲しい事」で出てきた
『昔と今の縫製工場の状況は違う、この背景を考慮した服作りをする』
この事に関して、少し深堀したいと思います。

上の一文で、ファッション業界に長くいる人はなんとなく想像がつくかもしれませんね。
想像がつかない人は、国内で服をつくるヒントになると思います。
では、いってみましょう!

まず、今と昔で大きく違うのは
1.国内縫製工場の需要と供給
2.国内生産キャパ
3.人件費↑、原材料↑
4.生産可能アイテム
細かく違う所は沢山ありますけど、とりあえずこんな所でしょうか。

それぞれ、見ていきますか。

『1.国内縫製工場の需要と供給』
どうでしょうか。この事に関しては服を作ろうとしている皆様も肌で感じているのではないでしょうか。
昔と比べて、販売チャネルが増えモノを売るハードルが下がり、広告も安価で簡単になりました。
それと反比例して、高年齢化による生産キャパの減少や国内縫製工場の廃業、倒産・・・
これが需要と供給のバランスを変えました。

『2.国内生産キャパ』
これは上記でも書きましたが、国内全体のキャパシティが劇的に少なくなっています。
では、なぜキャパが減っていくのか・・・
そもそも縫製業というのは労働集約型と呼ばれ、人間の労働力への依存度が高く、機械・設備よりも、人間の手による仕事量が多い産業です。
人間の労働力への依存度が高いということは、売上に対して人件費の割合が高くなります。
なので、このような産業は先進国ではなく、人件費が安い発展途上国で活発になります。
言い方を変えると、発展途上国が先進国になる為に必要な産業なんです。
一応、先進国の日本・・・人件費が高くなるので、安く服を作ることは出来ないんです。
そんな中、無理な値下げ交渉をしてきた発注元や値下げをして仕事を取ってきた縫製工場・・・
こんなことが何十年と続けば、このような状況になって当然です。

『3.人件費↑、原材料↑』
”給与が上がらない日本”とよくメディアに出ていますが、労働集約型の産業は低い賃金で働いていることも多く
国による年に1回の賃金見直しで毎年のように給与は上がっています。
その上げ幅が昔と違って今は大きくなっています。
原材料に関しても言うまでもないですね。原材料の多くを海外に依存している国内ファッション業は昨今の円安に原油高
の影響で何もかもが値上がりとなっています。
ですので、今年2000円で作れたTシャツが来年は3000円になることもありえますし、過言ではありません。

『4.生産可能アイテム』
これに関しては”??”となっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
”生産可能アイテム”と書きましたが、”生産選択アイテム”といった方が正確かもしれません。
前提として、工場によって得意なアイテムや生地というものがあります。
詳しくは後日のブログに書くとしてとして、工場には得意不得意があるということを覚えておいてください。
皆様が工場側で仕事が沢山あり生産アイテムを選ぶことができるとします。さて皆様ならどのような依頼を選択しますか?
得意なもの?不得意なもの?

このような背景が国内縫製工場にある中で、今、何を考えますか?

アパレルをこれから始める、既に始めている皆様には、
〇〇というターゲットに向けて服を作りたい!
〇〇というコンセプトでアパレルをやりたい!
などなどありますよね?

洋服って本当に人生を、日々を輝かせることが出来るすばらしいものです。
その時着ていた服で人生が変わることもある魔法のようなものです。
私はそのような服を作っていることに、誇りと自信、そして責任を持っています。

皆様の頭の中には
”〇〇を作りたい”が沢山あると思います。
では、”その作りたい〇〇は本当に今作れるのか?”を考え、調べましたか?
今の日本で作れないものを作ろうとしていませんか?
今の日本のモノづくりには合わない、プライス設定、アイテム展開、コンセプトになっていませんか?

昔と今は文字通り違います。
進化論で有名なダーウィンの名言にこのようなものがあります。
「強い者、賢い者が生き残るのではない。変化できる者が生き残るのだ。」
これは工場側にも言えることですが、服を作ろうとする皆様に覚えておいてもらいたい言葉です。

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宜しければご覧ください!
最後までお読みいただきありがとうございました。

では、また

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