このページでは、代表の加々村が運営するYouTubeチャンネル「縫製屋motoの縫製分析チャンネル」の動画をコラム形式でご紹介します。アパレル業界で働いている方、働きたい方、縫製屋motoをおもしろいと思ってくれた方、皆様に楽しんでいただけたら嬉しく思います。
「ファミリーマートの男女兼用アウターTシャツ」の縫製分析3つの特徴
縫製分析チャンネル
チャンネル登録はこちらからお願いします。
プロの縫製屋の視点から、世の中にある様々な服飾製品を紹介しています。
チャンネル登録はこちらからお願いします。
ブランド名:Family Mart
商品名:アウターTシャツ しろ
-
ここが凄い!その1衿ぐりが3本針表振りのバインダー仕様になっている
-
ここが凄い!その2肩線とアームホールに2本針の補強がしてある
-
ここが凄い!その3脇から袖下を一気に縫い上げている
ここが凄い!その1
衿ぐりが3本針表振りのバインダー仕様になっている
ファミリーマートの男女兼用アウターTシャツの一番の魅力は、衿ぐりが3本針表振りのバインダー仕様になっている点です。これは過去の2回のTシャツでも見られた仕様で、身頃の生地を襟の生地で巻くという手法です。このバインダー仕様の特徴は、洗濯に強く、何度着てもよれにくい点です。デイリーで使うカジュアルTシャツにはぴったりの仕様であり、どんなに生地が良くても襟がよれてしまうと見た目が悪くなるため、この点は非常に重要です。
さらに、3本針表振りのバインダー仕様は、一つのミシンで糸を5本使う非常に手間のかかる仕様です。糸の数が多くなるとミシンの調整が大変になり、不具合も出やすくなります。しかし、デザイン的には非常に魅力的で、デザイナーがベーシックなアイテムに特徴を出すために使われることが多いです。また、このTシャツでは、縫い代が首に当たらないようにするために工程数を増やしており、非常に細やかな配慮がなされています。
ここが凄い!その2
肩線とアームホールに2本針の補強がしてある
次に注目すべき点は、肩線とアームホールに2本針の補強が施されていることです。この補強は単なる補強だけでなく、デザイン的な要素も含んでいます。通常は必要ないステッチをあえて入れることで、工程数が増え、結果的に工賃が上がりますが、それでも製品の耐久性とデザイン性を高めるためにこの手法が取られています。
この2本針のミシンは、先述のバインダー仕様で使われるミシンと同じものであり、針の数や糸の数を変えることでさまざまな表現が可能です。肩線やアームホールに3本針の表振りをかけることも可能で、これによりさらに耐久性が増します。工程数を増やすことで工賃が上がるという点は、製品の価格にも影響を与える重要な要素です。
ここが凄い!その3
脇から袖下を一気に縫い上げている
最後に、ファミリーマートの男女兼用アウターTシャツのもう一つの凄い点は、脇から袖下を一気に縫い上げている縫製方法です。通常、Tシャツの縫製にはさまざまな方法がありますが、このTシャツでは身頃と袖を先に縫い付けてから、一気に袖下から脇を縫い上げる方法が採用されています。
例えば、一般的なTシャツの作り方としては、まず右肩を縫い、次に襟の処理を行い、左肩を縫い、両脇を縫い、裾を始末するという流れがあります。そして最後に袖を縫い付けるのが一般的です。しかし、このアウターTシャツでは、身頃と袖を先に縫い付け、袖下から脇を一気に縫い上げることで、効率的かつ強度の高い縫製が実現されています。
お読みいただきありがとうございます!
最後に「縫製工場の外国人実習生について」もお話ししています。
よかったら動画もお楽しみください。